生活保護受給者の厳しい現状
物価高騰の影響
物価高騰は、特に生活保護受給者にとって大きな打撃となっている。東京都内に住む50代の女性の例を見てみよう。
- 週3日、午後8時になると近くのスーパーで半額シールの食料品を探す
- 夏場は室温が36度になっても、クーラーを使わず扇風機だけで過ごす
- 月7万円弱の保護費では、どんなに節約しても手元に2000円しか残らない
この女性の生活は、まさに綱渡りのような状態だ。食べることだけで精一杯で、知人の葬儀に参列する際の香典さえ満足に用意できない状況にある。
病気による転落
この女性が生活保護を受けるに至った経緯も、現代社会の問題点を浮き彫りにしている。
- 2018年、「線維筋痛症」と診断される
- 全身の激痛で日常生活が困難に
- 別の病名での診断で月10万円の医療費を貯金で賄う
- 蓄えが尽き、薬の副作用で仕事を辞めざるを得なくなる
- 通院先のケースワーカーの助けで生活保護を申請
病気による失職と医療費の負担が、この女性を生活保護受給に追い込んだのだ。
孤立と危険
生活保護受給者の孤立も深刻な問題だ。この女性が知り合った70代の女性の例を見てみよう。
- エアコンが故障したまま
- 毎日スーパーの閉店まで涼みに来ていた
- 今年8月、熱中症により自宅で亡くなる
この悲劇は、生活保護受給者が直面する危険を如実に示している。50代の女性自身も在宅中に熱中症で倒れた経験があり、「このまま黙っていたら私も同じように死んでしまう」と訴えている。
現行の生活保護制度の問題点
不十分な支給額
生活保護費の支給額が物価高騰に追いついていないことは明らかだ。月7万円弱の保護費では、最低限の生活さえ維持するのが困難な状況にある。
スティグマの存在
生活保護受給者に対する社会的なスティグマも大きな問題だ。「働いていたときと違い、人間らしい生活、最低限の人付き合いも難しい状況」という女性の言葉は、このスティグマの存在を示している。
複雑な申請手続き
生活保護の申請手続きが複雑であることも問題だ。この女性の場合、通院先のケースワーカーが代理申請してくれたからこそ受給できたが、すべての人がそのような支援を受けられるわけではない。
ベーシックインカム導入の可能性
ベーシックインカムとは
ベーシックインカムは、すべての市民に対して、無条件で一定額の現金を定期的に支給する制度だ。この制度には以下のような特徴がある。
- 普遍性:すべての市民が対象
- 無条件性:所得や資産の審査なし
- 個人単位:世帯ではなく個人に支給
- 定期性:定期的に支給される
ベーシックインカム導入のメリット
- 貧困の解消:最低限の生活保障が可能になる
- スティグマの解消:すべての人が受給するため、差別がなくなる
- 行政コストの削減:複雑な審査や手続きが不要になる
- 労働の自由化:生活の心配なく、自分のやりたい仕事を選べる
- 経済の活性化:消費が増え、経済が活性化する可能性がある
月15万円のベーシックインカム
本記事では、月15万円程度のベーシックインカムの導入を提案する。この金額であれば、現在の生活保護受給者が直面している問題の多くを解決できる可能性がある。
- 食費や光熱費の心配がなくなる
- 医療費の負担が軽減される
- 最低限の社会参加が可能になる
財源の問題
ベーシックインカム導入に対しては、「財源をどうするのか」という批判が必ず出てくる。しかし、この問題に対しては以下のような反論が可能だ。
- 既存の社会保障制度の統合:生活保護や年金などの既存制度を統合することで、ある程度の財源を確保できる
- 行政コストの削減:複雑な審査や手続きが不要になることで、行政コストが大幅に削減される
- 税制改革:所得税や消費税の見直しにより、新たな財源を確保する
- 経済効果:消費の増加による経済活性化で、税収が増える可能性がある
「とりあえずやってみればなんとかなる」というのは乱暴な言い方かもしれない。しかし、現状の生活保護制度の問題点を考えれば、大胆な改革が必要なのは明らかだ。ベーシックインカムの導入は、その一つの解決策となり得るのではないだろうか。
おわりに
生活保護受給者の悲痛な叫びは、現代日本社会の歪みを如実に示している。物価高騰が続く中、最も弱い立場にある人々がさらに追い詰められている現状は、早急に改善されるべきだ。
ベーシックインカムの導入は、確かに大きな社会変革を伴う。しかし、「人間らしい生活」を全ての人に保障するためには、このような大胆な施策も検討に値するのではないだろうか。
財源の問題は確かに重要だが、それ以上に重要なのは、社会の構成員全員が尊厳を持って生きられる社会を作ることだ。ベーシックインカムの導入は、そのための一歩となる可能性がある。
もう、みんなに金ながそ!な!