衆院選ポスター掲示板問題:「ルールなし」で再び掲示板ジャックの危険性

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2024年10月15日に公示される衆議院選挙が迫る中、選挙ポスター掲示板を巡る問題が再び注目を集めている。今夏の東京都知事選で起きた「掲示板ジャック」と呼ばれる事態が、今回の衆院選でも再現される可能性が指摘されているのだ。果たして今回の衆議院選挙はどうなるだろうか。本記事では、この問題の背景や課題、そして今後の展望について詳しく解説する。

目次

「掲示板ジャック」とは何か

都知事選での異例の事態

2024年夏の東京都知事選では、選挙ポスター掲示板に候補者と無関係なポスターが大量に貼られる事態が発生した。ペットとみられる犬や猫の写真、ほぼ裸の女性の画像、さらには有料サイトに誘導する二次元コードなど、通常の選挙ポスターとはかけ離れた内容のものが掲示板を埋め尽くした。

NHK党の戦略

この騒動の発端となったのは、「NHKから国民を守る党」(NHK党)が展開した運動だった。NHK党は24人もの候補者(関連団体を含む)を擁立し、さらに一定額の寄付をした人に対して掲示板にポスターを自由に貼る権利を譲渡したのである。

法の盲点を突いた戦略

公職選挙法の限界

公職選挙法には、選挙ポスターのサイズに関する規定はあるものの、内容や形に関する規制は一切存在しない。NHK党の戦略は、まさにこの法の盲点を突いたものだった。

公費投入の問題

選挙ポスター掲示板は公営で、各自治体が予算を組んで設置している。東京都知事選では1万4230カ所に設置され、その費用は都内全体で12億円を超えると推定される。このような巨額の公費が投入されているにもかかわらず、選挙と無関係のポスターを貼ることが許されている現状に疑問の声が上がっている。

規制強化への動き

与野党の合意

この問題を受けて、与野党5党は9月に公職選挙法改正について合意した。改正案には、ポスターの品位保持と候補者名の記載義務化、特定商品の広告など営業宣伝のポスター掲示に対する罰則などが盛り込まれた。

衆院解散による法改正の頓挫

しかし、衆議院の解散により、法改正は実現しないまま今回の衆院選を迎えることとなった。このため、今回の選挙も従来と同じ「ノールール」状態で実施されることになる。

自治体の独自の取り組み

鳥取県の条例制定

一方で、独自に動いた自治体もある。鳥取県では、選挙運動以外の目的でのポスター掲示を禁じ、違反した場合は選管が撤去できるとする条例が制定された。この条例は10月17日から施行され、今回の衆院選にも適用される。

海外の事例との比較

世界的に見て少数派の日本

選挙ポスター掲示板の設置は、世界的に見ると少数派だという。アメリカには一切なく、ヨーロッパの一部の国でも日本よりはるかに少ない設置箇所しかないのが現状だ。

ポスター掲示板の意義と課題

掲示板の役割

インターネットが普及した現在でも、ポスター掲示板には一定の意義がある。地方選挙など報道が少ない場合、掲示板が選挙の周知に役立つほか、候補者全体を効率よく把握できるというメリットがある。

費用対効果の問題

一方で、公費が使われていることを考えると、設置場所を限定するなど費用対効果を高める工夫が必要だという指摘もある。

表現の自由との兼ね合い

規制の難しさ

ポスターの内容規制には慎重な議論が必要だ。動物実験反対や女性の権利擁護など、政治的主張を含むポスターを一律に禁止することは、表現の自由を侵害する恐れがある。

今後の展望

新たな仕組みの必要性

専門家からは、公職選挙法の理念を維持しつつ、新しい仕組みを考える時期に来ているとの指摘がある。選挙の公正性を保ちながら、現代のニーズに合った制度設計が求められている。

結論

衆院選を目前に控え、選挙ポスター掲示板問題は未解決のまま残されている。法改正が間に合わなかったことで、今回の選挙でも「掲示板ジャック」が再現される可能性は否定できない。果たして今回の衆議院選挙はどうなるだろうか。有権者の注目を集める政策論争が展開されるのか、それとも再び掲示板が無秩序化するのか、予断を許さない状況だ。

この問題は、選挙の公正性と表現の自由のバランス、公費の適切な使用、そして現代のデジタル社会における選挙広報のあり方など、多くの課題を内包している。今後、国会での議論や各自治体の取り組みを通じて、より良い解決策が見出されることが期待される。

選挙は民主主義の根幹を成す重要な制度である。ポスター掲示板問題を通じて、私たち有権者一人一人が選挙のあり方について考え、議論を深めていくことが、より良い民主主義社会の実現につながるのではないだろうか。

エンパラ

ルールにも穴があるということで

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