人気作品『ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん』（通称：ツンリゼ）の連載が、編集部の度重なる不手際により異例の形で終了することとなったのだ。この事態は、漫画制作における編集部の役割と責任の重大さを浮き彫りにし、業界全体に大きな教訓を残すこととなった。
連載終了の衝撃
『ツンリゼ』の連載終了は、連載誌『B’s-LOG COMIC』の公式Xアカウントで突如発表された。この予期せぬニュースは、多くのファンに衝撃を与えた。特に異例だったのは、連載終了の原因が作品の人気や作者の意向ではなく、編集部側の問題にあったという点だ。
編集部の度重なる不手際
連載終了に至った背景には、編集部による一連の不手際があった。具体的には以下のような問題が重なったとされる：
- タテスクコミック版の無許諾・無監修配信
- コミックス特典制作における監修依頼漏れ
- コミカライズと原作の乖離に対する長期交渉
- 編集部の調整力不足による連載一時停止
- メディアミックス情報の漏洩
これらの問題が積み重なり、原作者の恵ノ島すず氏との信頼関係が大きく損なわれることとなった。結果として、原作使用許諾契約の更新が行われず、連載終了という事態に発展したのである。
連載継続への努力と挫折
編集部は問題解決のため、担当者交代や再発防止策の徹底、最終回までのネーム提出などを約束し、一度は連載継続の合意を得た。しかし、漫画家の逆木ルミヲ氏が体調を崩し、約束を果たせなくなったことで、最終的に連載終了という結果に至った。この経緯からは、編集部が最後まで連載継続に向けて努力したことがうかがえる。
エンパラ原作者が契約解除を申し出て、それを阻止するために編集部が作画担当にとんでもないペースでネームを描かせた結果、作画担当が体調崩したってこと
読者と関係者への謝罪
編集部は公式声明で、読者や原作者、漫画家、その他関係者に対して深い謝罪の意を表明した。「続きを楽しみにしてくださいました読者の皆様には、心よりお詫び申し上げます」という言葉からは、編集部の反省の念が伝わってくる。また、「当編集部ではこのたびの件を重く受け止め、今後は読者様と作家様に対してより一層誠実に向き合う姿勢で作品作りに励んで参ります」という決意表明も行われた。
今後の展開
本作は既刊7巻をもって完結となり、今後の新刊刊行予定はない。既刊については在庫分のみ販売が継続されるが、品切れ次第終了となる。電子書籍版やタテスクコミック版、海外翻訳出版については、現時点で詳細が明らかになっていない。ファンにとっては残念な結果となったが、原作小説版で作品の結末を楽しむことができるとのことだ。
教訓と展望
この事態は、漫画制作における編集部の重要性と責任の大きさを改めて浮き彫りにした。
単に作品を世に送り出すだけでなく、原作者や漫画家との信頼関係を構築・維持し、適切な管理と調整を行うことが編集部の重要な役割であることが再認識された。業界全体にとっても、この事件は大きな教訓となるだろう。
作品制作に関わる全ての関係者間の信頼関係が、いかに重要であるかを示す事例となったのだ。
今後、各出版社や編集部は、この事件を反面教師として、より慎重かつ誠実な姿勢で作品制作に臨むことが求められるだろう。
『ツンリゼ』の連載終了は残念な結果となったが、この経験を通じて業界全体が成長し、より良い作品づくりにつながることを期待したい。
読者、作家、編集部、そして出版社が互いを尊重し合い、信頼関係を築きながら作品を育てていく。そんな理想的な漫画制作の在り方を、この事件は私たちに改めて考えさせてくれたのである。