2024年米大統領選挙:トランプ氏の圧勝と中東政策への影響

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2024年11月5日に行われたアメリカ大統領選挙の結果が出揃い、共和党のドナルド・トランプ前大統領が民主党のカマラ・ハリス副大統領に大差をつけて勝利した。全米50州と首都ワシントンの大勢が判明し、トランプ氏は事前に優勢が伝えられていた州に加え、選挙結果を左右すると言われた7つの激戦州すべてで勝利を収めた。

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選挙人獲得数と得票数

トランプ氏は全米の選挙人の過半数である270人を大きく上回る312人の選挙人を獲得した。一方、ハリス氏の獲得選挙人数は226人にとどまった。総得票数においても、トランプ氏が7464万4300票を獲得し、ハリス氏の7091万573票を上回った。共和党候補が総得票数で民主党候補を上回るのは20年ぶりの出来事となった

トランプ氏勝利の要因

アメリカメディアは、トランプ氏の勝利について「国内のインフレや移民問題に対して有権者が抱える不満を追い風にした」と分析している。これらの問題に対するトランプ氏の強硬な姿勢が、多くの有権者の支持を集めたと考えられる。

連邦議会選挙の結果と「トリプルレッド」の可能性

大統領選挙と同時に行われた連邦議会の選挙では、上院で共和党が多数派を奪還することが確実となっている。下院の結果はまだ判明していないが、共和党が多数派を維持すれば、大統領職と上下両院をすべて共和党が掌握する「トリプルレッド」と呼ばれる状況が実現する可能性がある。

トランプ氏の中東政策と国際関係への影響

パレスチナとの関係改善の兆し

トランプ氏の勝利を受け、パレスチナ暫定自治政府のアッバス議長とトランプ氏が電話会談を行った。両者が直接対話したのは2017年以来のことである。1期目の政権時、エルサレムへのアメリカ大使館移転などでアッバス議長との関係が悪化していたが、今回の会談では和解の兆しが見られた。

イランとの関係

イランのアラグチ外相はSNSで「アメリカの人々の選択を尊重する。双方の信頼構築が必要だ」と投稿し、関係改善への期待を示した。一方で、イラン側はトランプ氏の返り咲きによって、より強硬な対イラン政策が打ち出されることを警戒している。

イスラエル支持の継続

トランプ氏は自身を「歴代で最も親イスラエルの大統領だ」と表現しており、イスラエルへの強い支持を続けると予想される。1期目の政権では、エルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館をエルサレムに移転するなど、イスラエル寄りの政策を推進した。

トランプ氏の中東政策の展望

ガザ地区とレバノンの紛争解決への取り組み

専門家は、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、まずガザ地区とレバノンの紛争を何らかの形で止める努力をすると予想している。トランプ氏自身も、中東地域で平和を実現できると意欲を示している。

イランへの対応

次期トランプ政権の閣僚候補には対イラン強硬派が多く含まれているとされ、1期目と同様にイランの封じ込めにより力を入れていくことが予想される。具体的には、経済制裁の復活も含めて核開発を抑制しつつ、イランを経済的・軍事的に封じ込める政策が取られる可能性が高い。

今後の展望と課題

トランプ氏の大統領再選は、アメリカの国内政策だけでなく、国際関係にも大きな影響を与えることが予想される。特に中東地域においては、イスラエル支持の継続やイランへの強硬姿勢など、1期目の政権時の政策を踏襲しつつ、さらに踏み込んだ対応が取られる可能性がある。

一方で、パレスチナとの関係改善の兆しや、ガザ地区とレバノンの紛争解決への意欲など、新たな展開も見られる。これらの動きが実際の政策としてどのように具現化されるかが、今後の焦点となるだろう。

また、国内においては、インフレや移民問題など、トランプ氏の勝利につながった課題への具体的な対応が求められる。「トリプルレッド」の実現によって、共和党の政策が推進されやすい環境が整う可能性があるが、同時に党内での意見調整や、民主党との協力関係の構築なども重要な課題となるだろう。

トランプ氏の2期目の政権運営が、アメリカ国内の分断を深めるのか、それとも国民の統合と国際社会との協調を図るのか、世界中が注目している。今後の政策展開や閣僚人事などを通じて、トランプ氏の真の意図と能力が問われることになるだろう。

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